相続相談室 in 和歌山

相続って何?どうすればいいの?そんなお悩みにお答えします。 神山和幸行政書士事務所(和歌山県和歌山市)

タグ:相続

【重要】

民法改正により、以下の点が改正されました。

1.相続開始前の財産処分についての取扱い
民法906条の2の新設により、たとえ相続開始前の財産の処分についても、共同相続人の同意があれば、その財産は遺産に含めることができるようになりました。この条項では、その処分した人は相続人にア限られません。

2.仮払い制度の創設
民法909条の2の新設により、相続開始後、法定相続分の3分の1までであれば、相続完了後でなくても、預貯金を引き出せるようになりました。親族の死亡後でも支払いが必要なもの、例えば死亡前後の治療費用、祭祀に必要な葬儀費用など、相続開始後にもあれこれ費用が必要ですよね。
 相続開始時では、従来預貯金の払い戻しについては遺産分割終了まで相続人には払い戻さない、いわゆる「口座凍結」という措置が(当然のように)行われました。金融機関では半ば慣例のようでしたが、民法改正により大きく変更されそうです。
 
※ただし他の共同相続人の利益を害する恐れがある場合、調停又は審判によってこれを認めないとみなされることがあります。
 
3.配偶者居住権の新設
 例えば、夫が死亡し、妻と長男が相続人であった場合を想定してみましょう。
 夫の遺産が自宅3000万円、預金3000万円であり、遺産分割協議において妻が自宅を相続すると、通常民法下では妻が自宅の所有権を相続したことにより、妻の預金の取り分が0円になってしまいます。
 
 今回の民法の改正により、夫の自宅が遺産評価から控除することができるようになりました。
 これにより所有権とは別に居住権が新たに発生し、預金も妻の取り分が残ることができます。

 ただし、これには要件があります。

①婚姻して20年以上であること。
②遺言により夫が妻に遺贈していること。

 これを「配偶者居住権」といいます。
 配偶者居住権は、配偶者に無償で長期の使用収益権を認める一方、配偶者居住権を財産の一部として相続財産を構成しますが、では具体的にその財産評価をどう算定するべきかは今後の法令整備を待たねばなりません。

※この制度について詳細はこちら
 
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相続のご相談で最も多いのが「遺産分割協議書」の書き方についてです。
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さて、遺産分割協議書とは?改めてご説明しましょう。

相続手続きをするには必ず遺産分割協議書が必要であるわけではありません。
例えば相続人が一人であれば、そもそも協議する相手さえいませんから遺産分割協議書は不要です。
また、特定の相続人(例えば長男)にすべて相続させることでまとまっている(改めて協議の必要がない)のであれば、協議書ではなく、同意書でもよいのです。この場合、「以下の財産を○○に相続させることに同意します」という内容の同意書を他の相続人全員一人一人が作成すればいいのです。

◎協議書と同意書の違い
協議書の形式とは、相続人全員が集まり、相続の内容について協議して話がまとまったことを記載するものですから、相続人全員が同じ協議書に署名捺印する必要があります。相続人が多数となり集まる日時を合わせるが大変・・・というのであれば、同意書を各相続人に送付し、署名捺印の上送ってもらえれば、少し手間がかかりますが、便宜的です。要は、相続人全員が納得していることを証する書類であれば協議書であっても同意書であってもかまわないのです。

◎協議書の様式
協議書の書き方については、大勢の先生方が各webサイトで解説しております。
改めて触れる必要はないかもしれませんが、まずは基本的なところから。

①相続関係
 ・冒頭に被相続人の死亡年月日と本籍地を必ず書く。
 ・相続関係説明図を作っておく。
 被相続人の死亡年月日と本籍地は必須です。また、相続関係説明図を作るのは、後で申し上げますが、金融機関等に対しての手続については、金融機関独自の様式があることが多く、そこには相続関係説明図を作成するように求められるため、不動産の相続登記の際に相続関係説明図を添付すると戸籍謄本等が還付されるからです。

②誰が、どのような財産を相続するのかを明確にする。
 ・相続財産については、それが特定できるように正確に書きましょう。例えば、銀行口座については、「銀行名・支店名・口座名」まで、不動産については登記簿通りを正確に書きましょう。○○市内の土地全部、とかも曖昧な書き方で認められません。例えば土地であれば、「所在・地番・地目・地積・(持分)」までです。ただし、残高や評価額まで書く必要はありません。
 ・財産は負債も同様に相続。
 ・財産がたくさんあるなら、財産目録を作成。この方がわかりやすくなります。

③その他
 ・葬祭費用、相続費用、その他建て替えている費用は相続財産から外す→相続財産から清算できます。
 ・今後新たな財産が出てきた場合に改めて遺産分割協議をする必要をなくすために、その財産について誰が相続するのかを記載しておく。
 ・最後に住所と署名捺印(必ず実印)。数枚に及ぶときには契印、捨印も忘れない。

   
・・・それでは下記に遺産分割協議書の記載例をご紹介します。ただし、一般的な例ですので、必要に応じて変えてください。個別具体的な記載方法で迷った、わからない等あれば、行政書士等の専門家へ!!

遺産分割協議書

被相続人徳川家康(元和2年2月27日死亡 本籍東京都千代田区千代田1丁目1番1号)の遺産につき、その相続人全員の協議の結果、以下の通り遺産を分割し、取得することに決定した。

第1条相続人全員は、被相続人徳川家康の遺産が別紙遺産目録記載の通りであることを確認する。

第2条徳川秀忠が遺産目録第1、第2、第3、第4、第5を取得する。

第3条徳川秀忠は、第2条に記載の遺産を取得する代償として、徳川頼宣に対して、元和2年4月末日限り金○○○万円を支払う。

第4条遺産目録記載の遺産につき、被相続人の死亡日から本日までの間に発生した費用または果実については、徳川秀忠が費用を負担または果実を受領する。

第5条遺産承継のための手続及び代償金支払いにかかる費用は徳川秀忠が負担する。

第6条相続人全員は、以上の他に互いに何らの債権債務のないことを確認する。

また、被相続人に属する金融資産その他の遺産が見つかった場合は、徳川秀忠が取得する。

 

以上の通り協議が成立したので、これを証するため相続人全員が次に署名押印した本協議書2通を作成し、各相続人において、各1通を所持するものとする。

 

元和2年4月13日

 

住所 東京都千代田区千代田1丁目1番1号

(相続人)徳川秀忠  

住所 和歌山県和歌山市一番丁1番地

(相続人)徳川頼宣  

 

(別紙)

被相続人 徳川家康 遺産目録

第1 土地(不動産番号 ・・・・)

   東京都千代田区千代田1丁目 1番1 宅地  10,000.45

 

第2 建物(不動産番号 ・・・・)

東京都千代田区千代田1丁目1番1号 1番地1 居宅       

木造瓦葺4階建    1F ・・・㎡ 2F ・・・㎡ 3F ・・・㎡  4F ・・・㎡

 

第3 預貯金(1~4)        

1       通常    ゆうちょ銀行    千代田支店 12345-1234567      

2       普通    江戸銀行        本店営業部 123456     

3       定期    東京中央銀行    中央営業部 987654     

4       普通    京都中央銀行    伏見支店  031425     

 

第4 株式(1~3)

1        角倉証券 駿河屋株式会社       100

2        後藤証券 株式会社茶屋        1,000

3        亀屋証券 末次株式会社         100

 

第5 自動車

自動車車体番号

車台番号

車名

形式

原動機の形式

東京 30 1192

TG11600

トヨタ

TG-GD

13A

 

ちなみに、押印は実印です。花押を書いても無効ですので(笑)。

神山和幸行政書士事務所(073-460-5478)
和歌山県和歌山市
相続・遺言・成年後見

不動産は共有で相続しないほうがいい。そんなことを聞いたことがある人は多いと思います。
何をする場合でも、他の相続人と一緒にという場面が多いし、さらに誰かが死んだらまた共有者が増えるとかなり難儀なことになります。
特に、賃貸収入があってそれを継続して持っていきたい、つまり売却できない不動産の相続の場合はどうすればいいのか?
賃貸収入があるビルオーナーなどの人はある程度考えておいたほうがいいでしょう。

1.相続人複数で共有した場合
家賃収入があるから共有で相続。持分の割合で家賃を按分して毎月受け取ることになります。
誰が家賃を受け取って配分するのか?
賃貸管理会社に委託していなかったのなら、オーナーとして誰かが代表して家賃を受け取ることになります。共有している人ごとに家賃を分けて振り込んでもらうとかは当然難しいですから。
その場合、一旦誰かの口座や手元に家賃がまるまる入るわけですから、その絡みで揉めることになりやすいリスクがあります。

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相続の相続が起きたら?
兄弟2人で半分づつならまだいいか!と共有で相続。でも弟が急死した…すると弟の子どもの有無はともかく、弟の妻も共有名義に参加することになります。
全く予期していない、はっきり言えば他人が入ってくることになります。弟の奥さんが何も口を出すつもりがなくても、奥さん側の親族が口を出し始めるケースがあります。こうなるとドロドロになってきます。相続で揉めるケースは、直系ではなくて婚姻関係の血筋が登場してグチャグチャになることは多いです。
例えば家賃収入より売却してしまおうとかそういう提案が降って湧いたり。向こうさんサイドにお金に困っている人なんかいるとそんな話が生まれがちです。

3.誰かが認知症になったら?
相続した人の年齢にもよりますが、ある程度高齢だったら認知症になるリスクもあります。そうなると後見人をつけたりと、その不動産に関して何かするにも後見人の登場となります。そしてそこに至るまでの手間も費用もかかります。

4.最近流行りの対策方法
不動産共有を避けるために取られる方法が法人化です。法人にしてしまえば、法人が解散しない限りは会社の相続という問題は起きないからです。

株式会社の場合
ただ株式会社の名義に不動産を移転すると、今度は株式の問題が出てきます。株も当然相続の対象なのですから、相続の問題を引きずる格好になります。
最初から個人名義ではなくて会社名義だった場合も、結局こっちの相続が問題になってくるでしょう。

一般社団法人に信託
最近流行りの方法はこっちです。一般社団法人というのは株主のような出資者がいません。なので株の相続という問題を引きづらなくて不動産を移動させることができます。
ただそのまま移転したのでは賃貸収入の行き先が法人のものになってしまうので、不動産を預けて運用管理させる信託契約を結びます。そして家賃収入はそれを受け取る権利として相続人同士で分け合います。
家賃の回収元は法人。相続分に応じて相続人の口座に家賃を振り込む。法人の理事になる相続人が死亡した場合のその地位の継承者・その決め方等は法人の定款で定めておく。
こんな感じで、不動産共有で相続人が一致している見解を法人に移転して固定化。これにより、揉めるポイントを避けつつ、将来の相続人の変化にも対応しつつ家賃収入を受け取ることができるというわけです。

5.不動産の規模や数によって検討価値あり
亡くなった人が例えばワンルームマンション一室のオーナーだったようなケースなら、家賃収入の大きさも大したことはないでしょう。そのような場合まで法人設立してやるべきかどうかというのはまた考え方次第です。費用もかかりますし、法人のほうの管理もあります。
やはりある程度の家賃収入があったり、複数の不動産があってどうしても分けようがないのなら上記の対策方法を検討されはどうかと思います。
昔はどうしようかと悩んでどうしようもなくなあなあになり、結局お金のことで揉めるというケースが結構あったようです。こればっかりは遺言書でもカバーしきれないため、不動産オーナーの方は、相続人となる家族があまりあれこれとやり方の可能性を模索しないようにしてあげるのは一つの優しさであり、紛争予防となります。
相続で揉めるというのは、お金というものに引っ張られた故人から自分への愛情や関わりの強さの奪い合いの一面があるので、ちゃんと私は考えていたという形を残す方法としても検討できるでしょう。

6.社団法人以外の方法
他に「自動定額送金サービス」を利用して代表者と別途契約を結び、駐車場テナント料を折半する方法があります。このサービスは色々な金融機関が通常サービスとしてよく行われているサービスです。
具体的には以下の手順で行います。
①通常の遺産分割をする。
※テナントの収入について、「別途契約を結ぶ」の文言をする。
その際は公正証書にすることが望ましい。遺産分割の内容は代表相続人一人の相続とし、将来的な不動産収入について、固定資産税等必要経費は収入全体から控除した上で折半(あるいは分割割合を別途約定)しておく。
②文案の検討と作成
 公正証書文案を検討する。
③公正証書か私文書にて契約書を作成。
※私文書でも契約は成立するが、将来的に有力な証拠として残すためには公正証書が望ましい。私文書であっても2通作成し、実印を添付し印鑑証明書を添付する。
④保存
 2通は双方が保存する。
⑤各金融機関にて所定の手続を行う。

※ただし、この方法の場合、数次相続(お孫さんの代など)で揉める可能性がありますのでご留意ください。


神山和幸行政書士事務所(073-460-5478) 和歌山県和歌山市 相続・遺言


相続財産管理人と不在者財産管理人
Q.父から相続した賃貸アパートの住人が亡くなりました。その住人は高齢者の独り暮らしであり、相続人を探していますが、身寄りがおらず、難航しております。
家賃や駐車場代も未納のままであり、葬儀費用もこちらで建て替えたままとなっており、困っております。
どうすればよいのでしょうか?

A.近年、お年寄りの孤独死が増えており、今後増え続けることが予想されます。さらに、相続人が不明、あるいは相続放棄をした等の事情により、相続財産が宙に浮いた形となり、それにより不利益を被る人も出てまいります。ご質問の内容によると、質問者は亡くなられた方が住んでいる賃貸アパートの大家さんであり、管理会社を介して貸していた場合は別として、直接賃貸借契約を結んでおりますと、家賃等がずっと滞納したままとなってしまい、不利益をこうむっておられます。この場合、大家さんは亡くなりになった方にとって「利害関係人」であるといえます。

 大家さんは利害関係人として、管轄裁判所に対して「相続財産管理人選任」の申し立てを行うことができます。

相続財産管理人は選任後、相続財産から、大家さんのような債権者に対して必要な弁済を行うなどの清算手続を行い、残った財産を国庫に帰属することになります。

【相続人の不存在・相続人の不明】 

 亡くなられた方の相続人を探すには、限界があります。

   まず、相続人を探すには、その型の戸籍に関する情報を取得しなければなりません。戸籍(除籍)謄本などですが、戸籍を取るにはその権限が必要となります。利害関係人であることを戸籍の発行する市町村に説明せねばなりませんし、いざ取得しても、戸籍を読み込み、家族関係を負いつつ、何度も戸籍を取らなければならないなど、手間暇がかかります。

 その結果、相続人がいないこと(相続人の不存在)が確認されるまでには長い期間を要します。

 相続人が不明な時、大家さんなどの利害関係人に代わって、相続財産を管理・処分しつつ、相続人の存在を確認する作業を代行するのが、相続財産管理人の職務となります。



【相続財産管理人申立てについて】

1.申立できる人・・・

  • 利害関係人(被相続人の債権者,特定遺贈を受けた者,特別縁故者など)
  • 検察官

    2.申立先・・・被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所

    3.必要な書類・・・被相続人と親族等の戸籍謄本など、戸籍付票、利害関係人であることを証する書類

    4.費用・・・ 

  • 収入印紙800円分
  • 連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください)。
  • 官報公告料3775円(裁判所の指示があってから納めてください。)


  • 「不在者財産管理人について」

      相続人が生存していることが確認できても。行方が分からない場合、その行方の分からない相続人を不在者とする「不在者財産管理人選任」の申し立てを行わなければなりません。 従来の住所又は居所を去り,容易に戻る見込みのない者(不在者)に財産管理人がいない場合に,家庭裁判所は,申立てにより,不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため,財産管理人選任等の処分を行うことができます。
     このようにして選任された不在者財産管理人は,不在者の財産を管理,保存するほか,家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で,不在者に代わって,遺産分割,不動産の売却等を行うことができます。
      相続財産管理人も不在者財産管理人も財産を管理することに変わりはありませんが、相続財産管理人は、最終的に相続財産を国庫に帰属させるための必要な手続きを行う権限を有しますが、不在者財産管理人はあくまで財産の保全ですから、例えば債権者に弁済を行う場合でも権限外の行為とみなされる場合が多い(例えば、被相続人の父親が不在者である場合、不在者財産管理人が行う賃貸借契約の解除など)と思います。


    【不在者財産管理人申立てについて】

    1.申立できる人・・・

  • 利害関係人(不在者の配偶者,相続人にあたる者,債権者など)
  • 検察官

    2.申立先・・・不在者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所

    3.必要な書類・・・

  • 不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 不在者の戸籍附票
  • 財産管理人候補者の住民票又は戸籍附票
  • 不在の事実を証する資料
  • 不在者の財産に関する資料(不動産登記事項証明書,預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し,残高証明書等)等)
  • 申立人の利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書),賃貸借契約書写し,金銭消費貸借契約書写し等)

    4.費用・・・ 

    収入印紙800円分

    連絡用の郵便切手(申立てする家庭裁判所へ確認してください)。


  • 神山和幸行政書士事務所(073-460-5478)
    和歌山県和歌山市
    相続・遺言・成年後見

     相続には、色々な疑問、問題点がつきものです。こちらではその代表的なものについて、ご紹介しましょう。


    (9)胎児と相続

    Q.若い夫婦の夫が妻とおなかの赤ちゃんを残して死亡しました。それを追うように、今度はその父も死亡しました。さて、おなかの赤ちゃんはまだ生まれていませんが、相続することはできないのでしょうか?


    A.
    仮にこの赤ちゃんが生まれていたとしたら、夫の父が亡くなった場合、この旦那様は相続権を有しますが、すでに亡くなっていますので、この赤ちゃんがその権利を引き継ぎます。これを代襲相続といいます。 赤ちゃんは旦那の父死亡当時には生まれていませんが、出生を条件に相続権が認められます。

     民法によると、人の私権(個人の私的な権利すべて)は出生より始まるとされていますが、まだ生まれていない赤ちゃんは例外として、相続、遺贈、不法行為に基づく損害賠償請求について、無事に生まれてきたことでさかのぼって権利能力者として認められます。ただし、流産あるいは死産した場合にはこの権利は消滅してしまいます。
     よって、赤ちゃんが無事生まれるまで、遺産分割が行われてしまうおそれがありますので、妻としてはそれを阻止しなければなりません。なぜなら、遺産分割が行われてしまうと、それを元に戻す、あるいは取り戻すことはかなり困難を伴うと思われるからです。
    このようなおそれがある場合には、家庭裁判所に遺産分割の差し止め請求をしておくといいでしょう。裁判所がその請求に十分な理由があると認めたときには、一定期間(この場合は無事生まれてくるまで)遺産分割を禁止します。それを無視して遺産分割を行ったとしてもそれには効力が認められません。



    (10)有価証券の承継

    近年、株への投資や投資信託などが気軽に始められるようになり、退職金等を投資に充て、運用されている方々が急増しております。

     株式、投資信託など、預貯金以外の有価証券については、預貯金に比べて困難が伴います。有価証券の財産評価については、それぞれの商品で解約にかかる手数料の計算や、評価そのものの計算方法が異なります。評価証明書を発行してもらっても、一見して何を書いているのか分かりづらいことが多いのです。  
     遺産分割のために有価証券を評価する場合と、相続税申告時の評価とは大きく異なるので特に注意が必要となります。相続税がかかるのであれば、投資信託や外国債券等の場合、目論見書を取り寄せて十分確認しましょう。
      さて、金融機関や取扱証券会社などで、相続のために必要な書類が若干異なります。詳細につきましては、当事務所等の専門家に依頼されるか、各金融機関等取扱会社にお尋ねください。




    神山和幸行政書士事務所(073-460-5478)
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    相続には、色々な疑問、問題点がつきものです。こちらではその代表的なものについて、ご紹介しましょう。

     

    相続放棄の撤回

    質問 『同居していた父が亡くなり、遺産分けをしなければならなくなりました。私には妹が一人いますが、遠方に嫁いだ後は滅多に帰ってきません。父の葬儀のため帰郷した際に遺産分けの話をしたところ、妹は「相続は放棄するから」と言って自宅に帰っていきました。私は「(妹は)遺産を一切相続しない」という意思だと考え、その旨の遺産分割協議書を作成し、署名捺印を頼んだところ、「すでに相続を放棄したんだから(署名捺印)しない」と言われてしまいました。このままだと父の遺産は宙に浮いたままです。他に相続人はいません。どうすればいいのでしょうか?』

    妹さんが「相続を放棄する」と言ったことに対して、ご相談者が「遺産は要らない」のだと解釈し、すべての遺産を相談者自身が相続する旨の協議書を作成したところ、妹さんが署名捺印してくれないため、遺産分割ができないというご相談です。
     いまひとつ妹さんの本心がよくわからないのですが、このケースのポイントは、
    ①相続放棄は当事者の間で、口頭でできるのか?
    ②協力してくれない相続人を無視して遺産分割協議ができるのか?
     というところでしょう。
    まず①「相続放棄は当事者の間で、口頭でできるのか?」についてです。まず「放棄」という意味が問題です。
    俗に「相続放棄」という言葉のみがよく知られているため、「遺産は要らないから相続を放棄する」と他の相続人に伝えればすべて済むと勘違いしておられる方が多いようです。
    民法で定められている「相続放棄」には条件があります。相続開始から3か月以内に、家庭裁判所において相続放棄することを申述(申し述べること)しなければなりません。なお相続放棄は一度手続をしてしまうともう相続人には戻れません。
     それに対して、遺産分割協議書の中で、他の相続人が遺産を相続する旨を記載することにより「反射的に」相続を事実上放棄したことにはなりますが、相続を放棄しようとする相続人も含めて署名捺印が必要です(なお、この場合「遺留分」が発生します。遺留分についてはまたの機会があればお話しします)。
     今回のご相談の場合、妹さんが遺産分割協議書に署名捺印するか、あるいは相続放棄には家庭裁判所で申述するようお願いするか、どちらかの方法によらなければ解決できません。
     次に②「協力してくれない相続人を無視して遺産分割協議ができるのか?」ですが、結論としてはできません。ただし、協議に協力してくれない相続人がいる場合の法的手段として「家事(遺産分割)調停」を申し立てる方法があります。調停の申立はご相談者自身でももちろん可能ですが、ご自身では不安な方は弁護士に一度ご相談されるといいでしょう。
     それにしても、そもそもなぜご相談者の妹さんは相続放棄すると言っていながら署名捺印してくれないのでしょうか?もしかすると、ご相談者と妹さんの話し合いが不足しているため、本心が聞けていないまま早合点しているのかもしれません。今一度よく話し合い、当事者同士で円満な遺産分割ができないかどうか、よくご検討いただきたいと思います。

    ◎遺骨・香典・位牌・墓地の帰属

    Q.私の父が亡くなり、私が喪主として葬式一切を取り仕切りました。香典は葬式代の支払いに全額充てています。しかし、疎遠だった私の弟が、私とは別に墓を建てるから、遺骨と香典を折半するように要求してきました。どうすればいいでしょうか?

    A.位牌・墓地のほか、系図、仏壇などは「祭祀財産」と呼ばれています。

     祭祀財産の所有権は一般的に相続の対象とはならず、いわゆる「祭祀承継者」と呼ばれる、「慣習に従って祖先の祭祀を承継すべき者」が承継すると定められています。

     ただし、被相続人が遺言等で祭祀承継者を指定している場合にはそれに従い、慣習などが不明の場合は家庭裁判所が決定します。

     では、遺骨等はどうでしょうか。

     遺骨や遺骸については所有権そのものが観念できるかについては定かではありません。しかし、裁判例では、祭祀承継者に帰属するとされています。ただし、分葬のため遺骨の一部を分骨して、他の相続人に分け与えるということは比較的取られている方法です。

     最後に香典です。 

     香典は、慣習上、被相続人の死後に喪主あるいは遺族への贈与として交付される金員です。従いまして、香典は相続財産ではありません

     香典は通常葬儀費用にまず充てられ、残余は次の祭祀費用に充てたり、墓地等の建造費用に充てたりされるものですので、他の相続人に分与する義務はないと考えられます。ご質問の方の場合、香典はその全額が葬儀費用に充てられたのですから、この上さらにご親族に分与する必要はないと思われますが、遺骨の分骨については応じてもよいのではないかと考えられます。



     
    こちらの記事は当事務所ホームページでも掲載しています。
    http://kkoffice-wakayama.com/souzokucolumn

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